Fairygame

ZAP! THE MAGIC　※R-18

スクリーンショット

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総論

　ZAP! THE MAGICは1996年にアダルトゲームブランド「TOPCAT」から発売されたWindows3.1/95向けのゲームソフトです。トレーディングカードゲーム(TCG)自体が珍しい時代に登場した本作は、MTGベースの本格的なカードバトルが楽しめる事とそのグラフィックデザインの良さから巷で高い評価を得ており、登場から長い年月が経った現在でも根強いファンが存在する作品です。一時は入手困難でプレミアがついていた時期もありましたが、2008年には公式からXP/Vista向けに改良を加えたものが無料公開されています。

　行く手に立ちはだかる敵達と(タロット)カードバトルを繰り広げ、新たなカードを入手して、ボックス(山札、デッキ)を構築・拡張していくという内容になっており、ストーリーが進行するにつれて敵はより強力なカードを使用してくるようになってきます。また、本作は18禁ゲームなので主要な敵を倒した際にはオマケ程度にHシーンも入ってきます。

　そして肝心のカードバトルについてですが、本作はトレーディングカードゲーム界の金字塔である「Magic: The Gathering(通称MTG、マジック、ギャザ)」を強く意識したものとなっていて、SC(マナ)や色、召喚酔いやUSED(タップ)の概念、エンチャントやトレジャー(アーティファクト)の存在、モンスター(クリーチャー)の特性(飛行・貫通・不意打ち)など、ルール、システムが非常に良く似ています。細かな所は違うかもしれませんが、MTG経験者であればすんなりとプレイできる事でしょう。

　本作はグラフィックの出来が地味に素晴らしく、キャラクター・カードデザイン共にセンスが光っています。特にカードデザインの方はモノクロでありながらも写実的な巧さがあって、見ているだけでも楽しむ事ができます。デザインを手掛けているのは「ブギーポップシリーズ」等で有名な「緒方剛志(ぼうのうと)」氏のようで、何気に贅沢な作品であると言えます。

　カードゲームが好きで面白いカードゲームをお探しの方や、「昔MTGをプレイした事があるよ」という方にお勧めの作品です。

各論

　私はフリー化された後に本作の存在を知ってプレイしたのですが、元々MTGが好きだったこともあって本作をとても楽しむ事が出来ました。正に「ポストMTG」、「ライトMTG」といった雰囲気の作品で、まるでMTGを始めたばかりの頃のような、あのワクワクするような感覚を再び味わう事ができました。カードバランスや敵AIに対して物足りなさを感じる点も確かにありましたが、オフラインのカードゲームである事や発売当時の時代背景を考えれば十分過ぎる程の出来の作品だと思います。

　強力なカードを入手して必勝パターンが定まってくるゲーム終盤よりも、持ち合わせのカードであれこれ考えたり、強力なカードに憧れを抱いたりするゲーム中盤までが1番面白かったです。一応クリア後には全カードのコンプリートを目指すというやりこみ要素もあるので、やりこみ好きな方であればもっと楽しめるかもしれません。

　MTGと比較してしまうと、本作にはバーン系に分類されるようなプレイヤーに直接当てるタイプの火力呪文が無く、またフィールド・エンチャントやアーティファクト(トレジャー)を基軸とした強力なロック系カードも殆ど無いので、どうしても戦法はビートダウンやビート・コントロール寄りになってしまわざるを得ません。また、各色マナ(SC)が常に飽和状態な事から色を絞り込むメリットがあまり感じられなかったり、ディスカードフェイズ(タロットの破棄ターン)に手札を全て捨てて引き直す事が出来てしまったりと、かなり大味な印象を受けます。
　しかし裏を返せば、本作を「クリーチャー(モンスター)同士の殴り合いを中心に楽しめるカジュアルMTG」として見る事も出来ます。回転が早い事は「シャッフル事故」や「時間拘束ストレス」の軽減にも繋がっていて、プラスの面も大きいです。

　現在TOPCATからは本作の他にも「ReNN」がフリーで公開されています。興味を持った方はプレイしてみてもいいかもしれません。

　最後に本作は一応18禁となってはいますが、エロは本当にオマケ程度にしかありません。あくまでもカードゲームを楽しみたいという方にのみお勧めできる作品です。

関連リンク

動作環境

製作者情報

TOPCAT

補足、攻略情報など

イエロータロットカードLv.1(MTGの土地に近いカード)はデフォの状態から3、4枚買い足してボックスに加えておいた方が良いような気がします。(その後はLv2が手に入り次第Lv1と交換する形で)