Fairygame

シルフェイド幻想譚

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総論

 シルフェイド幻想譚(げんそうたん)(通称シル幻)は2005年にSmokingWOLF氏によって公開されたRPGです。RPGツクール2000で制作されており、その独特のシステムや世界観からは数多くのファンが生まれました。

 何と言っても本作の1番の特徴は、作品全体を通して「時間の概念」が適用されている点にあります。ファンタジー世界「シルフェイド」のどこかにある「名もなき天空大陸」には15日後に大きな「災い」がもたらされるらしく、そこに生み出されたプレイヤーの目標は「15日間(ゲーム内時間)以内に災いが起こるのを阻止する事」です。災いの正体も初めは一切分かりません。街中を除く全てのフィールド・ダンジョンでは歩くたびに時間が経過していくので、グズグズしているとタイムリミットが迫るのはもちろん、重要なイベントをも逃してしまいます。

 プレイヤーは初めに3種類のトーテム(精霊)の内から1つ選び、その力を借りる事が出来ます。肉弾戦に強く持てる重量も多いが移動速度の遅い「クロウ」、最速の移動速度で素早い戦闘も出来るが持てる重量の少ない「フェザー」、フォース(魔法)能力に特化され水中移動も出来るが肉弾戦には不向きな「スケイル」、それぞれが一長一短であり、どれを選び進めていくかはプレイヤー次第となっています。

 戦闘は1ターン中に最大で4つの行動(スキルや道具)を選択する事ができ、敏捷の値に応じて相手との攻撃順位が決まります。また数ある行動の中でも「集中」の存在が特に際立っており、近接攻撃の場合は回数を重ねるほどに威力・命中率・クリティカル率の上昇、フォースにおいては事前に発動させる必要回数が決まっていて、高度なものほどその回数が増していきます。更にそれらとは別に「WILL」と呼ばれる1日の使用回数が決められている特殊なポイントが存在します。戦闘時に使用する事で「敏捷の大幅アップ」+「集中なしでフォースの発動が可能」という非常に強力な恩恵を受ける事が出来るので、強敵相手やピンチ時などに上手く活用していくと良いでしょう。

 経験値システムも独特で「EXP(経験値)」、「S.EXP(特殊経験値)」の2つを組み合わせたハイブリッド方式を採用しています。EXPはステータスに入ってくる経験値で、敵を倒すとその戦いの内容に応じて「筋力」、「敏捷」、「生命」、「知力」、「意志」の5つの値が自動的に上がります。近接で戦えば筋力・生命・敏捷が、フォースで戦えば知力・意志が上がるといった具合です。自分より格上の敵と戦うほど多くの経験値を得る事ができ、選択したトーテムによっても上限の値やその伸び方が変わってきます。S.EXPの方は自由に使う事の出来る経験値で、ステータスに追加で割り振ったり、新たなスキルや能力を得る事が出来るようになっています。特化構成にするも良し、バランス重視にするも良し、プレイヤーの好みに合わせて自由に成長させる事が出来ます。

 とにかくRPGが好きな方、ひと味違ったRPGをプレイしたいという方にお勧めの作品です。

各論

 王道進行のRPGに時間制限を加える事で、ここまで作品が輝くと誰が想像できたでしょうか? 本作は有りそうで無かった新感覚のRPGです。世界自体はそこまで広くはないのですが、時間が差し迫る中で大陸中を奔走するのが面白かったです。

 私の場合2周目までは何も見ずに、3周目以降で攻略を見てプレイしました。初めはとにかくリミットが迫り焦燥感との戦いでしたが、2周目以降では余裕が生まれ、最初に救う事が出来なかった人(竜人)達までも救う事が出来て感慨深いものがありましたね。3周目からは全仲間のコンプリートを目指していきました。プレイする度にまた違った世界が見えてくるのも本作の良い所です。

 あまり取り沙汰されてはいませんが「ダッシュ移動(Shiftキー)」や「戦闘の高速化(決定ボタン長押し)」、「その場待機で時間の加速(決定+キャンセルボタン長押し)」も非常に有り難い存在に感じられました。ロード時間の短縮やムービー・シナリオスキップの実装はもちろん、どんどん時間の無駄を省いている昨今のゲーム界隈においては、最早RPGの「フィールド移動+雑魚の相手」のようなお決まりの行動パターンでさえもストレスに成り兼ねない段階にまで来ています。数周プレイ推奨の作品ともなれば尚更で、1周するだけで力尽きてしまったり作品そのものを忌避される方も少なくないと思います。しかし本作の加速機能の存在はそういったストレスを大幅に緩和する事に成功しており、プレイを円滑に進めさせてくれる潤滑油のような役割を果たしています。

 なお、本作にはファン制作(製作者様公認)の「鬼畜化パッチ」なるものが存在します。これを使用する事により「ハードモード」をより高難易度のバランスに上書きする事が出来るので、既に作品を遊び尽くしてしまった方やデフォルトのゲーム難易度では物足りなかったという方は試してみてもいいかもしれません。

 また「トーテム能力」や「謎の救世主(アルバート)」については製作者様の別作品である「シルフェイド見聞録」にて更に詳しく知る事が出来ます。こちらはギャグADVになっていますが、また違った面白さがあるので未プレイの方にはぜひお勧めしたい作品です。

 最後には「もっとこの世界の住人達と関わっていたい」、「仲間達数人を連れてもっと広い世界を旅してみたい」と寂しさ、名残り惜しさまで感じてしまう程の作品でした。でも束の間の短い時間であったからこそ、儚く美しいものなのかもしれませんね……

関連リンク

動作環境

製作者情報

SmokingWOLF

補足、攻略情報など

時間制限によるイベントが多いので、1周するだけでは本作を遊び尽くす事は出来ません。心残りのあるポイントにはぜひ2周目以降で足を運んでみて下さい。