Fairygame

総論

　闘神都市II(通称闘神2、T2)は1994年にアダルトゲームブランド「アリスソフト」から発売されたPC-98向けのRPGで、前作「闘神都市」の後継に当たる作品です。元々は市販されていた作品なのですが、2003年の公式による「配布フリー宣言」により、現在は誰でもネット上で無料で配布・入手する事が可能となっています。「シナリオRPGの傑作」、「エロゲRPGの最高傑作」と各地で絶賛され、発売から長い年月を経てしてなお根強いファンが存在している人気作です。

　まず前作と比べると、本作は「作品のスケールが大幅にアップした正統進化作である」という事が言えます。前作からの「優勝する為に闘神大会に出場し、試合の合間にダンジョンに潜ってはレベル上げを繰り返す」という基本的なプレイスタイル・設計はそのままに、本作ではグラフィック、サウンド、シナリオ、世界観、キャラクター設定、やり込み要素など、正に全ての面における大幅なアップグレードが図られています。

　そして本作の1番の魅力としては「ストーリーの良さ」を挙げる事が出来ます。本作は一般的なRPGのように勇者が世界を救う物語でも、悪を滅ぼし正義を貫く物語でもありません。ひ弱な主人公「シード・カシマ」が、愛するヒロイン「瑞原 葉月」の為に戦う「純愛の物語」です。物語は紆余曲折あって非常に長く、後半に進むほどに苦しみは増していくのですが、「愛する人の為に戦う主人公の前向きな姿勢」は終始一貫していて、プレイを進めていくほどに「主人公とヒロインに対する感情移入の度合い」が強まっていく内容となっています。

　それから本作のユニークな特徴としては「悪事システム」を挙げる事が出来ます。作品にはプレイヤーの行動や選択における「悪事(善悪)の概念」があり、それがイベント時のちょっとしたアクセントになっています。悪事を働いた際には「特定のHシーン」を見れたり、「お金」や「アイテム」を入手出来たり、「強力なスキル」が得られたりもするのですが、その代わりに「悪事ポイント」が加算されてしまいます。「悪事ポイント」が増えると「入手経験値が減少する」ので、相対的にレベル上昇スピードが遅くなってしまいます。

　グラフィックに関してはやはりアダルトが本業なだけあって、ドット絵やキャラの立ち絵、CGの作り込みまで全てが素晴らしく、18禁作品ならではのバリエーションに富んだ魅力的なキャラクター達がひしめきます。BGMに関してもまた、淫靡な雰囲気の漂う「Hシーン」や「麻薬中毒」を皮切りに、ロック系やオーケストラ系などの優良なインスト曲が作品を引き立てます。

　本作品は一応「2」の名を冠してはいますが、前作とのストーリー的な繋がりは一切ありません。全くの新規プレイヤーでも本作品を闘神シリーズの、ひいてはアリス作品の入り口として存分に楽しむ事が出来るでしょう。

　18禁作品をプレイする事の出来る全てのJRPGゲーマーにお勧めな作品です。

各論

　ランスシリーズと双璧をなすとされる不朽の名作、闘神都市IIをプレイしてみました。魅力的なキャラクター達が織り成す、多彩なイベントに支えられた濃厚なストーリーは正に圧巻の一言であり、笑いあり涙ありエロスありの二転三転する物語には「悲しみと苦しみを背負いながらも、愛する人の為に戦い続ける男(女)の生き様」が見事に描かれていました。流石に現代の作品と比べてしまうと、時代を感じさせる絵柄であったり、操作周りに若干の不便さを感じたりもするのですが、それらを補って余りある程に物語の出来が良かったです。

　システム面に関しては「1人旅と1対1戦闘が非常に良い方に作用している作品だなぁ」という印象を強く受けました。本来、長編RPGにおける「1人旅」や「1対1戦闘」というものは、どうしても戦略性が低くなり単調化し易い事からマイナス要因にも取られ兼ねないのですが、本作の場合はそれが「主人公に対する強固な感情移入」と「回転率の高い軽快な戦闘テンポ」へと見事に昇華しています。

　まず主人公に対する強固な感情移入について述べると、本作は「最初から最後まで主人公1人のみを操作する事になる」ので、そこに強い「思い入れ」や「愛着」といったものが発生し易くなっています。一般的に「操作キャラクターの数が増える」という事は、「戦略性が高まったり、魅力的な新キャラの登場で作品が豪華に見える」など、良い事ばかりが注目されがちなのですが、実際には「操作キャラクターの数が増えれば増えるほどプレイヤーの意識が分散してしまい、単一キャラに対して感情移入がしづらくなる」といったもう1つの問題も同時に抱えているのが実情です。その点、本作の場合は大量のキャラクターが登場するにも関わらず、操作できるキャラは基本的にシード1人のみとなっているので、プレイヤーは常にシードと共に戦い、苦しみ、成長していく過程を通して、そこに「強固な感情移入」が形成され易くなっています。

　次に回転率の高い軽快な戦闘テンポについて述べると「1対1の高速戦闘」こそが「本作品のゲームテンポの良さを下支えしている影の立役者である」という事が言えます。本作の戦闘は基本的に「1対1ですぐに決着がつく」ので、ストレスを殆ど感じさせず、爽快感の強いものとなっています。この「高速戦闘」は、雑魚敵との戦いを数多くこなさなければならない本作品の戦闘回転率を大きく向上させ、それが結果的に「ゲーム全体のテンポの良さ」というものにまでも影響を与えています。

　闘神都市シリーズは本作品の他にも、同じく配布フリー宣言の対象である「闘神都市」や、こちらは有料になりますが「闘神都市III」に、本作品の外伝的ノベルゲーム「闘神都市II そしてそれから…」などがあります。本作を気に入った方は他作品をチェックしてみてもいいかもしれません。

　また、本作にはPC-98版とWin版の2種類がありますが、現行のPCで普通にプレイしたいのであれば、迷わずWin版を選択する事をお勧め致します。PC-98版でもエミュレータを使用してプレイする事は可能なのですが、その導入方法は非常に複雑なものとなっています

　かつては「東のエルフ、西のアリス」とエロゲ界にその名を轟かせ、現在でもエロゲ界のラスボスとして君臨し続けている「アリスソフト」の名は伊達じゃありません。18禁作品でしか描くことの出来ない圧倒的な世界観がそこにはありました。

ダウンロード

REVERY_L_ELEKTRA - 闘神都市II For Win95 ディスクイメージのダウンロードもしくはでっちあげ - アリスソフト『配布フリー宣言』対象ソフト配布 - 闘神都市２ ダウンロード
MANIMANIAのレトロエロゲーカウントダウン - 闘神都市２　マニュアル配布

・下記2つのパッチは必須ではありませんが、サウンド周りの問題改善や、その他コンプリートCGを見る事が出来るようになるので導入推奨です。 ※ただしセーブデータの互換性が無い為、作品を既にプレイ中の方の場合には注意が必要です。
アリスソフト(トラブルシューティング) - SYSTEM 3.x ダウンロード (現在の最新版を選択)
アリスまとめ(闘神都市II) - 非公式修正ファイル ダウンロード (非公式修正ファイルについての所の1番下、最新版zipファイルを選択)

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