Fairygame

まおゆう

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総論

 まおゆうは2011年に公開された、「2ちゃんねる」のオリジナルSS(同人小説)『魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」(別名まおゆう魔王勇者)』を原作としたノベルゲームです。比較的評価の高い原作の文章はそのままに、グラフィックとサウンドが加えられた事によってより作品の世界に没入する事が出来るようになっています。

 原作の方は、元々2009年に2ちゃんねるのVIP板『魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」』スレに橙乃ままれ氏が投稿していたSSで、書籍化(小説)、アニメ化、漫画化とメディアミックス展開が成された人気作です。本作品はそれを松竜氏が気に入り、原作者様の許可をとってノベルゲーム化した作品であるという事になります。

 特筆すべきはやはりグラフィック面で、「CROSS†CHANNEL」などで有名な松竜氏が全面的に製作しているだけあって、クオリティーが高いです。現代萌え絵師らしい魅力的なキャラクターデザインが原作の世界を彩ります。

 肝心の中身である文章内容自体は原作そのままなので、特にこれといった違いはありません。人間と魔族とが対立する中世風のファンタジー世界を舞台に、「戦争(政治)と経済」といったスケールの大きな話題であったり、「魔王」と「勇者」のラブコメを始めとする魅力的なキャラクター達の群像劇であったりを楽しむ事が出来ます。

 ただ、非常に残念な事に本作品は話の途中まで(原作の1スレ分程)しか作られていていないので、ストーリーが尻切れトンボ状態になってしまっています。続きを読むには原作まとめサイト(無料で全文閲覧可能)などを訪問しなければなりません。初めから本作品は導入版(体験版)として認識していた方が良いでしょう。

 中世ファンタジー路線で面白い読み物をお探しの方、エンターテイメント性の高い作品を求めている方にお勧めの作品です。

各論

 近年では「ログ・ホライズン」や「放課後のトラットリア」なども手掛け、メキメキと頭角を現している橙乃ままれ氏ですが、本作はその処女作である「まおゆう」のノベルゲームバージョンにあたります。未完結なのが大変悔やまれますが、「ストレートに原作へ移行できる導入作品」として捉える事もでき、何より松竜氏の絵を見れるのが魅力的な作品です。

「まおゆう」はエンタメ性の強い作品なので、どんな内容であるかを一言で説明するのは難しいです。経済を中心とした小難しい話題から、「魔王」と「勇者」を中心としたラブコメ、人間界と魔界の宗教観や統治風景、数々の思惑が入り乱れる中世の戦争劇、はたまたJRPGパロディ(世界の半分ネタなど)であったりと、実に様々な要素が作品には盛り込まれています。個人的には「Civ解説プレイ」や「横山三国志」に近い匂いを感じ取る事が出来ました。

 また、続きを見る際にですが、「まおゆう」には原作以外の他メディア版も存在しているのでいろいろと選べます。しかし私としましては、初見ならばやはり「原作」、もしくはそれに準じる「小説版」の方をお勧め致します。どうしても他メディア版が見たいのでしたら原作の表現に1番近いと思われる「石田あきら氏漫画版(連載中)」か「浅見よう氏漫画版(連載中)」の方を私はお勧め致します。

 書籍化された2ch作品と言えば「電車男」や「痴漢男」、「ブラック会社」なんかを思い浮かべるのですが、まさかVIPSSがここまで有名になっているだなんて思いもしませんでした。「芸術に国境はない」じゃありませんが、「光る作品はどんな媒体からも生まれてくるものなんだなぁ」と強く感心させられました。

関連リンク

動作環境

製作者情報

松竜(alicemiller / ASTRO CREEP) / 橙乃ままれ(ママレードサンド) ※原作

補足、攻略情報など

作中に出てくる農作物などの難しい漢字読み

世界地図と位置関係の解説

信玄もちが食べにくい - アニメまおゆうをみててもちょっとわかりにくい極光島と開門都市について

外伝

橙乃ままれ氏と川上泰樹氏による外伝作品
まおゆう魔王勇者 外伝 まどろみの女魔法使い

その他

本作品と直接関係はありませんが、個人的にお勧めの名作VIPSS
のび太「ドラえもんとか、実際無理だろ」