Fairygame

無限夜行

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総論

 無限夜行は2010年に公開されたノベルゲームです。少年達の旅を通して、誰もが1度は経験したことのあるような、どこか懐かしい幼いあの頃の気持ちを思い起こさせてくれる作品です。

 本作はオンライン公開されている「小説版 無限夜行」を元に作られており、音楽やイラスト、そして間を上手く使った演出が加わることで、より味わい深い作品に仕上がっています。

 ある夏の夕暮れ、10歳の少年「深川 悠太」は兄と2人で、田舎の祖父母の家に向かうのですが、気付けば彼らが乗った列車は「無限夜行」と呼ばれる夜から夜へと走る幻想世界の列車でした。元の世界に戻る為には「切符」が必要なのですが、あろうことかそれを泥棒に盗まれてしまいます。失われた遠い日の記憶……そして大切な切符を追い求めて彼らの旅は始まります。

 グラフィックはラフで優しげなタッチが作風にとても良く合っています。BGMもまたニューエイジ的なピアノインストが大変素晴らしく、作品に陶酔させてくれます。

 全8章で構成されており、選択肢はありません。緩急もあるのでマンネリせずにすんなりと読み終える事が出来るでしょう。

 面白いノベルゲームをお探しの方、幻想的な雰囲気が好きな方にお勧めの作品です。

各論

 トップ絵に一目惚れしてしまい手を出してみたのですが、その中身もとても儚げで美しく、プレイ後には爽やかな余韻の残る良作でした。

 途中「ここは無くても良かったのでは?」と思える程にドロドロとした展開もありましたが、削ってしまうと謎が解けなかっただろうし、それがあるからこそ最後がより輝いて見えたのだと思うので、これはこれで良かったのでしょう。

 物語を進めていくと分かるのですが、本作には「悠太」以外のもう1人の(本当の)主人公が存在します。前半の悠太のパートは、「全てが後半部分への伏線」もしくは「序章」だと言ってしまっても過言ではなく、後半こそがこの作品の本編であるように思えます。無限夜行の本来の姿が活き活きと描かれ、製作者様の電車に対する愛が伝わってきました。

 本作を気に入った方は前コラボ作である「だれかのよどみ」や、めめ氏の他の作品、小説「逆再生」や漫画「川底幻燈」などをチェックしてみてもいいかもしれません。

 幻想的な絵柄とその世界観には凄く惹かれるものがありました。こういう雰囲気重視の作品はすごく好きですね。

関連リンク

動作環境

Windows98/98SE/Me/2000/XP/Vista/7

製作者情報

くらやみ横丁(宵町めめ) / ウミユリクラゲ(丹酌)

補足、攻略情報など

ゲームクリア後にはタイトル画面で「旅土産」が選択できるようになるほか、画面右下に「裏案内所」が追加されています。

ファンによるイメージソングがニコニコ動画に公開されています。とても素晴らしいので一聴の価値ありです。
VY1 でオリジナル曲 「無限夜行」