Fairygame

ユーマを抱きしめて

スクリーンショット

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総論

 ユーマを抱きしめては2010年に公開されたノベルゲームです。魅力的なグラフィック、フルボイスなのが印象的な本作は、その内容においても申し分の無い出来で、人々の優しさや温もり、絆の大切さを強く感じられる作品に仕上がっています。

 物語はある1人の少女「永宮 玲奈」を中心に展開されていきます。少女は世界でも類を見ない遺伝性の難病を抱えており、残り少ない命を誰とも関わらないようにして1人きりで過ごしてきました。そんな心を閉ざしてしまった少女と周りの人達とが打ち解けていく様子、純粋な心の交流を描きます。

 グラフィックはコントラストの効いた油絵チックな塗りが大変素晴らしいです。BGMについてはまた「レイナの家」を始めとするピアノインスト系の曲がなかなか良い味を出しています。

 作品は主となる6章に零章・間章・終章などが加わって構成されています。分岐は一切なく1本道のシナリオなのですんなりとプレイし終える事が出来るでしょう。

 良質なノベルゲームをお探しの方や感動系の作品を求めている方にお勧めの作品です。

各論

 本作をプレイしながら終始感じた事は、「登場人物達が皆優しさや愛情溢れる者達である」という事でした。作品は群像劇的に展開されていくので、章を進める度に視点がコロコロと変わっていくのですが、とにかく「みんな根が真っ直ぐで前向き」なんですよね。常に斜に構える癖のついた私のような(どちらかと言えば玲奈側の)人間にとってはそれが本当に眩しく感じられました。

 本作を「ナルキッソスに対するハッピーエンド派からの答え」だと言ってしまえば語弊があるかもしれません……しかし、同じように「人生最期の時を扱った作品」として相通ずる何かがあるような気がします。ナルキッソスが「絶望に満ちた現実」だったのに対し、本作からは「愛情の溢れる理想」のようなものを感じ取る事が出来ました。これは根本で同じ問題を抱えていたとしても「フォーカスするポイント」や「最後の締め方」1つで受け取る印象が180度変わってしまう事を示唆しているのではないでしょうか? ナルキをプレイ済みの方はぜひ本作を、そして本作をプレイ済みの方はぜひナルキの方をプレイしてみて下さい。また違った世界が見えてくるかもしれません。

 後のPixivインタビューによると、本作は「無償で高品質な作品を作り上げる」という目標に向かって「Pixivを中心とした有志達」が一丸となって取り組んできた末に生まれた作品だったようです。この作品から強く伝わってくる「人の温もり」や「絆の大切さ」というものは、そういった制作背景までもが作品に反映された賜物なのかもしれませんね。

関連リンク

動作環境

(推奨) ※すべての環境での動作を保障するものではありません。

製作者情報

UHMA Project / やっくん(監督)

補足、攻略情報など

特に無し